
「最近、Advantage+が急に賢くなったと思いませんか?」
Advantage+ Salesを使ったことがある方なら心当たりがあるはずです。1〜2年前は「手動設定と比べて不安定」という不満が多かったのに、今ではCPAが手動より低く出るケースが珍しくありません。
機能自体が変わったわけではありません。その下にあるAIモデルが丸ごと入れ替わったのです。 コードネーム:GEM — Generative Ads Recommendation Model。
GEMとは何か
Metaが公開した中で最大の広告レコメンデーション基盤モデルです。簡単に言うと:
- 以前:「キャンペーン目的ごとに小さなAIがたくさん」(コンバージョン予測、クリック予測、興味関心モデルなど)
- 現在:「一つの大規模基盤モデル(GEM)が中央頭脳」+「下流の小さなモデルがGEMから知識を継承」
LLMスケール(数千GPU)で学習されています。いわば「広告ドメインのGPT」のようなものです。
出典: Meta Engineering — Meta's Generative Ads Model (GEM)
実際どのくらい改善したのか
Metaが公式数値を公開しました(2025年Q2)。
| 指標 | 改善幅 |
|---|---|
| Instagram広告のコンバージョン | +5% |
| Facebook Feedの広告コンバージョン | +3% |
Q3にはアーキテクチャの変更により、追加データあたりの改善幅が2倍になったと報告されています。つまり、GEMはまだ成長中で、来年にはさらに良くなっているでしょう。
広告主にとって何が変わるのか

GEMはオン・オフを切り替える設定ではありません。すべての広告プロダクトの内部に自動的に組み込まれています。 Advantage+ Sales、Advantage+ Catalog、通常のSalesキャンペーン — すべてがデフォルトでGEMの恩恵を受けます。
広告主が実感する変化:
- 新規キャンペーンの学習が速くなる — 従来の「安定まで50コンバージョン」というハードルが緩くなっています。GEMの事前学習により、少ないシードデータでも学習フェーズが収束しやすくなりました
- 同じ予算でコンバージョンの質が向上 — 単にコンバージョン数が増えるだけでなく、購買意欲の高いユーザーを見つける精度が上がっています
- Advantage+が手動設定との差をより明確に広げる — GEMの恩恵はAdvantage+で最大化されます(手動設定でも改善はありますが、差は小さいです)

核心はこうです:GEMが何かを学習すると、その知識が広告モデルファミリー全体に伝播します。 従来の目的別小型モデル体制とは異なり、中央モデルが改善すれば、すべての下流プロダクトが一緒に改善されます。
では何をすべきか
正直なところ、特別なことはありません。GEMは自動適用されるので「有効化」スイッチはありません。ただし、恩恵を最大化するには:
- Advantage+キャンペーンの比率を増やす — GEMの恩恵はAdvantage+で大きくなります
- イベント品質の管理を徹底する — GEMがうまく学習するにはクリーンなシグナルが必要です。PixelとCAPIの設定、イベント重複排除、value/currencyパラメータ — これらを怠るとGEMは本領を発揮できません
- クリエイティブの多様性を確保する — 候補が多いほどGEMは賢くなります。広告セットあたり3〜5個のクリエイティブが基準です
- 学習中にキャンペーンをいじらない — GEMが収束している途中でリセットすると、せっかくの改善が途切れます
判断基準:あなたのアカウントはGEMの恩恵を逃していないか
以下のうち3つ以上が当てはまれば、GEMの改善効果を取り逃がしています。
- PixelのみでConversions APIなし
- コンバージョンイベントにvalue/currencyパラメータが欠落
- 広告セットあたりクリエイティブが1〜2個、一つの勝者に集中
- Advantage+が総支出の30%未満
- カスタムコンバージョンのみ使用し、標準イベントなし
3つ以上当てはまるなら、優先度の高いものから順に改善してください。
懐疑的に見る視点
+5% / +3%という数値はMeta自身の計測によるものです。サードパーティツール(GA、Northbeamなど)では異なる結果が出る可能性があります。それでも方向性は明確です:広告AIは「キャンペーン単位の最適化」から「中央頭脳による連鎖的改善」へとシフトしました。
この体制で勝つのは、データ供給とクリエイティブ供給を仕組み化したチームです。AIモデルが賢くなればなるほど、それを支えるインフラの質が問われます。
指標の読み方、Advantage+への移行、スケーリングの自動化については「Meta広告4巻」で詳しく扱っています。